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主催
終了
研究発表会「16世紀京都の都市社会―徳政令関係史料から考える―」
趣旨
日本の16世紀は、室町幕府が崩壊し、織田政権ついで豊臣政権が成立する激動の時代である。首都京都も、度重なる戦乱や災害に見舞われた。その一方、当該期は京都に町共同体が成立する時期としても知られ、都市史研究においては早くから都市住民の地縁的な結合の展開に注目が集まってきた。しかし、実は16世紀の京都には、地縁的な結合にとどまらない、さまざまな結合が都市住民の間に存在している。このことを、本発表会では天文15年(1546)の徳政令関係史料にみえる都市住民の貸借関係から明らかにしていきたい。
徳政令は、債務の破棄を認めるという、現代からみると特異な経済政策である。14世紀に成立した室町幕府は、15世紀以降たびたびこれを発布し、債務の破棄のみならず債権の保護をも行った。このうち天文15年の徳政令については、関係史料が最も多く残る徳政令であり、ここから多様な身分や属性を帯びた人々による貸借の実態が明らかとなる。そこで本発表会では、関係史料の分析を積み重ねてきた東京大学大学院ゼミの有志により、貸借の実態や慣行、および貸借関係から浮かび上がる人々の結合形態を示すことにより、戦乱と災害の危機にさらされた16世紀京都の都市社会とはいかなるものであったか、考えてみたい。そして、同時代の西洋都市における都市住民の経済活動や結合形態にかかわるコメントを頂戴することにより、16世紀都市史研究のさらなる可能性を追求していきたい。
※3/20追記 報告1~3の詳細なタイトルを公開しました。
開催情報
- 主催
- 都市史学会
- 日時
- 2025年3月29日(土)13:00 – 17:00(開場12:30)
- 会費
- 無料
- 会場
- 東京大学 本郷キャンパス 国際学術研究棟1階 文学部3番大教室(対面のみでの開催)
- キャンパスマップ
- お問い合わせ
- 都市史学会事務局 office@suth.jp
参加申込
以下のフォームへ、必要事項をご記入のうえお申し込みください。
* 申し込みは終了しました。
タイムスケジュール
司会|鈴木智行(国士舘大学)、松井直人(京都大学)- 13:00-13:05
- 趣旨説明|三枝暁子(東京大学)
- 13:05-14:20
- 報告1 天文15年徳政令の特質
- 藤田聡「天文15年徳政令の概要と研究課題」
- 森下裕真「訴訟としての天文15年徳政令」
- 戸瀬昌之「天文15年徳政令の債権・債務者の所在地について(仮)」
- 報告2 金融のしくみと慣行
- 山城颯太郎「金融慣行「百卅銭」の内実」
- 羽田友生「「別本賦引付二」68 項にみる頼母子講の一側面」
- 14:20-14:30
- 休憩
- 14:30-15:30
- 報告3 債権・債務者をとりまくネットワーク
- 荒木舜平「戦国期京都における債権者の性格―岡野井氏を事例として―」
- 小松原瑞基「ある武士の借銭―細川晴元陣営と「洛西」の金融資本―」
- 鎌田宜伸「領主による領民の債務破棄申請―吉田兼右と吉田郷―」
- ジョージ・ウォラストン「天文15年徳政令と東山若王子社近辺の社会―三上一族の事例―」
- 15:30-16:00
- コメント1 16世紀ドイツ史から|長藤美佑紀(早稲田大学大学院)
- コメント2 16、17世紀イギリス史から|菅原未宇(東海大学)
- 16:00-16:10
- 休憩
- 16:10-17:00
- 討論
- 17:00
- 閉会
- * 17:30より懇親会を予定(会費制)